喫煙と口臭の関係

喫煙は、口臭を発生させる原因の一つです。

しかも、喫煙による口臭は単にタバコの臭いだけではありません。

喫煙が「病的口臭」の原因となる歯周病や虫歯を引き起こすこともあります。

喫煙と口臭の関係について見てみましょう。

■喫煙による口臭の原因

タバコを吸わない人の中には、タバコの煙だけでなく、タバコ特有の臭いが嫌いだという人がいます。

このタバコ特有の臭いは、タールやニコチンなどの物質が発しています。

こうした臭いを発する物質が喫煙によって吸引されると、口内や体内で口臭の原因となります。

臭いのきつい食べ物を食べたり、お酒を飲んだりしたことが口臭の原因となるように、喫煙もタバコを吸ったことによる「生理的口臭」のひとつなのです。

しかし、喫煙による口臭は、食べ物やお酒による口臭と比べて、かなりきつい臭いを発するのはどうしてでしょうか?

その理由は、臭いを発する「タール」と「ニコチン」の性質にあります。

【タール】

タバコの煙に含まれるかなり強い臭いを発するタールには、歯や舌の表面にこびりつくように付着する性質があります。食べ物のカスなどに比べて、歯磨きでは簡単に落ちないため、口内に残り臭いを発し続けることになります。

【ニコチン】

ニコチンもタバコに含まれる成分ですが、実はニコチン自体は臭いを発することはありません。しかし、ニコチンには血管を収縮し血液や体液の流れを悪くする作用があるため、喫煙すると唾液の分泌量が低下し、口の中が乾燥して、雑菌が増殖しやすい環境になってしまいます。つまり、喫煙により、口内の雑菌が増えることで口臭の原因となるのです。

このようにニコチンやタールの歯にこびりついたり、雑菌を発生させる環境を作ったりする性質が、きつい口臭の原因となっているのです。

■歯周病や虫歯を引き起こす喫煙

喫煙は、「生理的口臭」だけでなく「病的口臭」を引き起こす病気、つまり、歯周病や虫歯の原因となることもあります。

こうした病気を引き起こすのも、やはりタバコの成分であるタールとニコチンです。

【タール】

歯にこびりついたタールをそのままにしておくと、どんどん付着していき、いわゆる「ヤニ」が歯の表面に付着した状態になります。ヤニがついてしまうと歯の表面がざらざらした状態になるため、歯垢が溜まりやすく、結果的に虫歯ができやすくなってしまいます。

【ニコチン】

血流を悪くする作用のあるニコチンは、口内の唾液量を減らして雑菌が増殖しやすい環境を作ると上にも書きましたが、雑菌が繁殖すると口臭だけでなく、虫歯の原因となります。

また、増殖した雑菌の中の歯周病菌が歯周ポケットに溜まりはじめると、歯周病を引き起こすことになります。

このように喫煙は、口内環境を悪化させて口臭を発生させる原因となるだけでなく、虫歯や歯周病を引き起こす原因にもなります。

ヤニは強力なステインであるため、一度ついてしまうとなかなか落とすことができません。

また、歯周病菌が出す毒素により歯ぐきが破壊されて歯周ポケットが深くなると、歯ぐきは炎症を起こし出血しはじめます。

歯ぐきが炎症すると、膿により口臭もさらにきつくなってしまいます。

そして、歯ぐきの血流を悪くするニコチンによって、歯ぐきの細胞へと運ばれる酸素量が低下してしまうため、歯ぐきの炎症は治りづらくなります。

口内環境を改善し、口臭を予防するためには禁煙することが一番ですが、しかし喫煙者の中には「なかなかタバコを止められない」という方も多いことと思います。

喫煙によるこうした口内環境を悪化させる悪循環に陥らないためにも、普段からしっかりと注意して歯磨きを行い、タールや雑菌が溜まらないように注意しましょう。

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