糖尿病は生活習慣病のひとつであり、罹患している人も多い病気のひとつです。
糖尿病は歯科治療においても大きく関わりがあり、きちんと糖尿病の治療を行っていないと、治療に大きく影響してしまいます。
具体的にどのような影響があるのか、ご紹介しましょう。
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■なぜ糖尿病が歯科治療に影響するのか
糖尿病は、インシュリンの分泌や作用が十分でないため、ブドウ糖がうまく使われず、血糖値が高くなる病気です。
糖尿病と診断された人はきちんと糖尿病の治療を行わないと、体に様々な影響が出ます。
歯科治療においては、抜歯だけでもかなりのリスクを伴うことがあるくらい、影響が大きい病気なのです。
・血が止まりにくく、傷の治りが悪い
糖尿病の人の血管の中には糖がたくさんある高血糖状態となっています。
そのため血液中の糖とタンパク質が反応し、血管が脆くなることから傷口の治りが悪くなります。
そのため抜歯を行った場合、糖尿病でない人に比べて歯ぐきの治癒が悪いと言われています。
・薬が効きにくく、感染症を引き起こしやすい
糖尿病の人は免疫力が低くなっているため、細菌感染を引き起こしやすくなります。
例えば細菌が原因で歯ぐきが腫れてしまった場合、歯ぐきを切開して膿を出す処置を行っても、いまいち治りが良くないという傾向があります。
このため抗生物質を服用しても、それほど治癒効果が高くないなどの影響が出てしまいます。
・麻酔薬に制限がある
歯科治療で使う局所麻酔は一般的にキシロカインやキシレステシンで、これらは2時間ほどしっかりと効く麻酔液です。
ところがこの麻酔液の説明書きには、症状が亜悪化する恐れがあるため、糖尿病や高血圧などの患者さんには原則禁忌となっています。
糖尿病の人に使える麻酔液は効き目が弱く、持続時間も短めになっています。
・歯周病になりやすい
糖尿病の人は、歯周病になりやすいという報告があります。
感染症になりやすいということと大きく関連しますが、歯周病も歯周病菌による感染症です。
糖尿病になると抵抗力が落ち、細菌感染しやすくなることから歯周病になると悪化する傾向があります。
また歯周病が悪化すると糖尿病も同じように悪化するという相互関係が成り立っているのも、糖尿病のやっかいなところでしょう。
・口が渇きやすい
糖尿病になると、喉が乾きやすくなります。
それに伴い唾液の分泌量も減少します。
唾液には、細菌を洗い流す作用があり、虫歯菌や歯周病菌の増殖を防ぐ役目があります、ところが唾液分泌量が減り、口の中が乾燥すると、口の中の細菌が増殖し、虫歯や歯周病、口腔カンジダ症などを引き起こすリスクが高まります。
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■糖尿病は、血糖値のコントロールをしっかりと行う
では糖尿病になると、歯科治療ができなくなるのでしょうか。
確かに健康な人と比べると、リスクは高くなります。糖尿病は生活習慣病であり、かかりつけ内科医の指導の下で、毎日の食生活と適度な運動を行い、血糖値のコントロールをしっかりと行います。
そして歯科治療を行うときにもいくつかの注意点があります。
特に抜歯の際には、血糖値を上昇させる作用を持つものは避け、事前に抗菌剤を投与し、感染予防に気をつけながら行う必要があります。
また歯周病を患っている人は糖尿病の悪化を招きます。
しかし逆に考えると、歯周病が改善されることで糖尿病の悪化も防ぐことが可能とも言えます。
糖尿病をきちんとコントロールしながら、歯科治療を行ってお口の中の健康を保つようにしましょう。