歯周病で骨が弱くなるのは破骨細胞による!破骨細胞形成のメカニズムを解説した論文がすごい!

九州歯科大学歯学部歯周病学分野及び九州歯科大学歯学部感染分子生物学分野の研究者たちによって、歯周病がどのように骨を破壊していくかを調べた結果が報告されました。

歯周病が悪化すると、骨が破壊され、歯がぐらついて最終的には歯が抜けてしまいます。

つまり、現在では顎の骨が歯周病により破壊されてしまうことがわかっています。

正確なメカニズムに関しては現在研究が進み、解明されつつありますが、この論文は歯周病が骨を破壊するメカニズムについて最新の知見を集めて報告したものです。

<関連広告>[薬用マスティック&アロマ」が口臭・歯周病対策になる訳は?

■この研究のここがすごい!

この研究で注目したいのは、歯周病による骨の破壊のメカニズムについて詳細に調査している部分です。

歯周病で骨が破壊されるのは、歯肉縁下ポケット内で歯周病菌が繁殖し、バイオフィルムを作ってしまうと、免疫機構が活性化しマクロファージの前駆細胞が分化し、融合して破骨細胞という細胞ができてしまいます。

この破骨細胞はプロテアーゼ(チーズなどを作るときに使用する酵素と同じ系統の酵素)を出してコラーゲンなどのたんぱく質を分解してしまいます。

骨の主成分はリン酸カルシウムとコラーゲンですので、コラーゲンが破壊されると骨がもろくなってしまいます。

これにより骨が破壊されてしまいます。

また、細菌が直接骨をもろくする場合もあり、免疫機構と細菌の両方向からの説明がなされています。


※日本歯周病学会会誌Vol. 57 (2015) No. 3 臼井通彦著 歯周病における骨破壊メカニズム
~破骨細胞を形成・活性化する因子~p. 122の図を引用。

骨がもろくなると言えば骨粗しょう症がよく知られていますが、この治療で使用する薬にビスフォスフォネートがあります。

この薬は破骨細胞をターゲットにして細胞死を誘発させる薬です。

しかし、副作用もあり、顎の骨の細胞も死んでしまいます。

歯周病で顎の骨が弱くなった場合に使用しても逆に健康な顎の骨が死んでしまうリスクがあるのでこの薬は骨粗しょう症と歯周病を併発している場合には使用できません。

歯周病の治療には細菌の除去と、メカニカルストレス、いわゆる噛む力のコントロールが重要となります。

また、歯の清掃や歯垢や歯石除去を通して歯周病菌が増殖する因子を取り除き、破骨細胞が形成されないようにすることが重要となります。

<関連広告>歯周病に効果的な[薬用マスティック&アロマ」

■この研究が将来の歯科治療にどのように役立つのか

この研究が進み、歯周病が骨を破壊するメカニズムが詳細にわかると、歯周病によりダメージを受けた骨の保護や治療が進歩すると考えられます。

特に、骨粗しょう症の薬を使うと、顎の骨への副作用が懸念されるため、歯周病で悪化した骨に対する有効な治療薬の発明につながると期待できます。

最も期待したいのが、そもそも歯周病にならないための予防法の確立です。

歯周病の予防法が確立されると、歯を失う機会が大きく低下して、より健康に長生きできるようになると期待されます。

<関連広告>歯周病専門薬用プロポリスハミガキ【プロポデンタル】お試しセット

■まとめ

非常に興味の持たれる報告です。

歯周病で歯がぐらつくということはよく聞きますが、この原因は、破骨細胞という骨を破壊する細胞が免疫機構や細菌により作り出されることに起因したものだったということです。

歯周病は万病のもとですので、できるかぎり効率の良い治療法が見つかることに期待して、研究者たちの今後のさらなる進展を見守りたいです。

※出典:日本歯周病学会会誌Vol. 57 (2015) No. 3 p. 120-125 臼井通彦著 歯周病における骨破壊メカニズム ~破骨細胞を形成・活性化する因子~より。

PN:ポリフェノール横山

<関連広告>[薬用マスティック&アロマ」が口臭・歯周病対策になる訳は?

トップへ戻る