全身疾患と口腔。
そんなに関係はないだろう・・・。
歯科の治療は後回しにしても大丈夫なはず・・・。
そんなあなた、それは大きな間違いです!
歯科が関係する病気は意外に多く、また、重症なものが多いのです。
今回はたくさんある疾患の中で、主なものをいくつか紹介します。
(肺炎・心内膜炎・動脈硬化・低体重児出産・糖尿病)
要チェックです!
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■肺炎
おなじみの肺炎は、日本人の死亡率で常に上位にランクインしている怖い病気です。
肺炎は肺の急性感染症で、発熱・せき・たん・呼吸困難などの症状を呈する病気です。
肺炎の中でも、特に歯科と大きな関わりがあるのが「誤嚥性肺炎」です。
これは、普通食道を通って胃に入るはずの食物が、嚥下障害により気管に入ってしまうことによって起こります。
これによって口の中の細菌などが肺の中で増殖して、上に挙げた症状を引き起こすのです。
体力を消耗している、高齢者であるなど、条件によって起こりやすくなります。
誤嚥性肺炎は口の菌が少なければ、起こるリスクが下がります。
しっかり口腔内を清掃しましょう!
■感染性心内膜炎
感染性心内膜炎は、心臓に細菌が感染することにより、心臓が破壊されたり、菌血症(血液中に細菌が存在する状態)になったりする病気です。
さまざまな臨床症状を引き起こし、死亡率の高い合併症の原因にもなるので注意が必要な病気です。
人工弁の人、心内膜炎の既往がある人、その他の心疾患などを持っている人に起こりやすいので、
この原因の一つに抜歯があります。
抜歯によって血液中に菌が入ってしまい、それが心内膜に定着してしまうのです。
なりやすい人も、そうでない人も予防していきたいですね。
予防方法としては、まず、口腔環境の整備。
つまり、虫歯や歯周病を治療し、口の中を清潔に保つこと。
なぜなら、虫歯や歯周病の箇所には細菌がたくさんいるからです。
次に、抗菌薬を予防投与すること。
リスクの高い人が抜歯をする場合には予防的に抗生剤を投与してもらいましょう。
多くの人が経験する抜歯が、重い病気の引き金になるなんて怖いですね・・・。
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■心疾患(動脈硬化)
歯周病の患者さんは心疾患での死亡率が約2倍であるといわれています!
なぜなら、歯周病菌が動脈硬化を起こしてしまうからです。
動脈硬化は、脂質が血管壁に沈着して膨らみ、血液を流れにくくするとともに、ふくらみが破壊されると止血のための血栓が形成されることによって起こります。
血流を遮断するので、脳血管で起これば脳梗塞に、心冠状動脈で起これば心筋梗塞になってしまうこわ~い病気です。
これと歯周病がどう関係するのでしょう?
ある動物実験があります。
歯周病菌や菌の成分が、大動脈の壁に粥状硬化症の病変を形成するというものです。
人間でも臨床的にデータがあるので、歯周病菌が動脈硬化に寄与しているといえるでしょう。
まさか、歯周病と動脈硬化がつながるなんて!
口腔と全身疾患の関係はあなどれませんね。
■低体重児出産
口腔の不健康は赤ちゃんにも影響を及ぼしてしまいます。
これも歯周病菌が関与しています。
歯周病菌、憎いやつですね!
早産は感染や体質で起きやすくなります。
もちろん、歯周病菌が関係するのは前者、感染による早産(低体重児出産)です。
歯周病菌からは炎症物質が出ています。
その炎症物質がなんと、早い段階で子宮をお産の状態にしてしまうのです。
また、炎症を起こした組織に集まる好中球が増え、それが出す物質によって破水が引き起こされてしまうのです。
歯周病菌を減らすことが予防になることは、もう言うまでもありません。
妊婦さんはどうしても歯周病になりやすい(ホルモン変化による)のですが、赤ちゃんのためにも、なるべく口腔内をきれいにして、歯周病そして早産を防ぎましょう!
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■糖尿病
歯周病と糖尿病、これは結構有名になってきました。
おさらいになるかもしれません。
まず、糖尿病は血液中の糖が高値を示す病気ですよね。
ひどくなると、体中の血管が破壊されるため、様々な臓器に障害が起きてしまう怖い怖い病気です。
臨床データで、糖尿病患者は歯周病にかかっている割合が高いことが分かっています。
また、歯周病が糖尿病を悪化させるようです。
その証拠に、歯周病を治療すると糖尿病の指標であるHbA1cが改善するというデータがあります。
この仕組みとして、
歯周病によって増えるTNF-α血中濃度が下がる
↓
インスリン抵抗性が改善(糖尿病患者さんはインスリン抵抗性のため血糖値が下がりにくい)
↓
血糖値改善
ということが考えられています。
仕組みを考えると、なるほどと思うことができますね。
■まとめ
口腔の疾患、特に歯周病は、全身疾患と密接に関係しているといえます。
歯周病などは全身疾患に影響を及ぼします。
口腔疾患と全身疾患が関与しているか知ることは、歯科の治療にも役立ちます。
薬や血圧など、全身疾患に関わる情報は、歯科治療にも大切な情報になります。
歯医者だから・・・と思わずに、飲んでいるお薬や体の病気について歯科医にあらかじめ申告するようにしてくださいね!